13.ヤマユリとオニユリ

/ 日本を代表するユリと言えば、ヤマユリである。「ユリの王様」に相応しく風貌が豪華で華麗である。7.8年前に当団地の西斜面に植えたヤマユリが多数の大輪の花を咲かせるようになった(写真1)。6年前に球根の鱗片から増やされしたヤマユリも十数本、それぞれがようやく一輪の花を咲かせた。この法面はまるでヤマユリの群生地のようで、毎年7月の中旬には何十株のヤマユリが花を咲かせ、濃厚な匂いを放つ。また、隣接する自転車置き場の前の花壇にはオニユリ(英名Tiger lily)が群生しており、これも6,7年前にムカゴから育てたもので7月にはオレンジ色の艶やかな大輪を開く(写真2)。本種の遺伝子は、種無しスイカと同様に、3倍体なので種子は作らず、ムカゴにより増殖する。日本のオニユリの原産地は中国大陸あるいは対馬とも言われ、対馬には普通のオニユリの他に極めて希少な黄色のオウゴンオニユリが自生するが、盗掘により絶滅寸前とか。筆者は見たことがないが、園芸種として入手できるようだ。ヤマユリやオニユリの球根は食用に給され、全国に広まったとか。その味はホクホクの栗に近いと聞くが、まだ試食したことがない。食べるよりは花を愛でる方がよい。

/写真1 ヤマユリ 撮影:2023.7.17  写真2 オニユリ 撮影: 2023.7.20

/  この斜面には一昨年、新しくカノコユリが仲間入りしだ。これも日本の自生種でルビーにも喩えられるピンク色の鹿の子模様の可憐な花を咲かせた(写真3)。今年は、中部地方以北の海岸の砂礫地や崖、岩場に生育するスカシユリが仲間入りした。イワユリとも呼ばれ、地方により様々な名前で呼ばれているそうだ。オレンジ、黄色、ピンク色など多彩で、園芸種としてとして人気が高い。

/写真3 カノコユリ 撮影:2023.8.20   写真4 スカシユリ(web siteから) 

/日本のユリがドイツ人医師のシーベルトによってオランダに渡りヨーロッパにおいて一代ブームを巻き起こしたことは、ご存じの通り。ここで品種改良がなされ、とりわけ「ユリの女王」カサブランカとその交配種はオリエンタル系のユリとして人口に膾炙している。本種は日本原産のヤマユリとタモトユリ(口之島自生の絶滅種)が原種であると言われている。

かつてはユリ球根の輸出大国であった日本では、ユリは絹と並んで輸出産業の一翼を担った時期もあった。今ではその自給率も低く、ユリ切り花の大部分はオランダやニュージーランドからの輸入に頼っている。自生のユリも減少の一途を辿っている。ヤマユリは神奈川県の「県の花」、八王子市の「市の花」でもある。八王子市では「やまゆり咲かせ隊」がヤマユリの里の保護と復活を目指して活動している。


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