30.富士山にキノコ狩りに行こう

子供のころ、収穫の秋と言えば、栗拾いと松茸狩り、見つけたときの興奮は今でも忘れられない。日本には約3000種類のキオコが自生するそうだが、日々の食生活、薬膳としても欠かせない存在です。キノコは食材としての価値は言うまでもないが、その生態の不思議、毒性、色や形態の妙が人々の興味をそそる。今回、キノコ狩りの楽しさについて77号棟のMAさんから寄稿がありましたので、ご紹介します。

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/私がキノコに興味を持ってから今年で23年になります。富士山山麓にて沢山の先達、プロ等に教えを請い美しい キノコ、食べられるキノコ、食べられない特に死に至らしめるキノコ等々を学びました。今回は食べられるキノコで、個人的に好きな5種を紹介します。

トップランナーNo.1のキノコは「タマゴタケ、Amanita caesareoides

食用キノコでこれくらい派手な色ものは珍しく、未だに有毒だと思っている人も多い。炊き込みご飯、てんぷら、グラタン等がとても美味しいのだ。

No.2は「ポルチーニ、Boletusedulis

名前の由来はイタリア語複数形で「子豚ちゃん達」、日本名「ヤマドリタケ」フランスでは「セップ」、採れたてはパスタの具材にとても相性がよく美味しいです。乾燥させてスープの出汁にもなります。

採れる時期は6月・7月で今年はまだ数本しか採れていないという情報もあります。この不作は、恐らく気候の温暖化と定期的な樹木の伐採が原因? この寺田地区にもよく似たキノコが出没しますが、間違ってドクヤマドリ茸を食べると大変なことになりますので要注意!病院行きです!

/No.1 タマゴダケ No.2 ポルチーニ

/No.3は「ハナイグチ、Suillus grevillea 最初に興味を持ったキノコです。富士山でたくさん採れるという情報があり、私の富士山詣でが始まり、そこで様々なキノコ達に会うことができました。ハナイグチは「ほうとう」には欠かせない具材で、小さいものはナメコ料理と同じように使えます。森に群生した場面を想像すると興奮して落ち着かず、毎年のように採りに行ってしまいます。時期は9月・10月の雨あがりの時期が最高です。

/No.4は幻のキノコと云われている「ハナビラタケ、Sparassis crispa

最近では人工栽培もできるようになり、スーパーマーケットでも売られていますが、やはり天然ものとは違います。薬効として活性酸素阻害作用があり、抗ガン活性も有すると云われています。時期は6月・7月で1合目・2合目あたりで採取されます。

/No.3 ハナイグチ         No.4 ハナビラダケ

針葉樹林の栂、カラマツがある程度大きくなっている風通しの良いところでよく採取できました。大きさは、縦40センチ、横30センチの大物もあります。鍋物の具材、天ぷら、酢の物によく合います。

No.5は「クロカワ、Boletopsis leucomelas

別名を「老茸」、ロウジと読みます。時期は9月・10月で2合目・3合目あたりで採取されます。No.5の写真は、富士山の北東斜面の針葉樹の少し開けた場所で撮りました。採った場所の周りを良く探すと、大抵、数個見つけることができて、「クロカワみっけ」と大騒ぎするほど興奮しました。大きい個体で直径18センチぐらいのものを採取したこともあります。長編小説「夜明け前」茶屋の亭主が「老茸でも焼こうか」と云うシーンがあり、昔から焼老茸が常道の食し方です。湯掻いて酢の物、パスタの具材にしても食感がよくとても美味しい。

/No.5 クロカワ

/ここで紹介した5品目はすべて、富士山「スバルライン」の左右の針葉樹林。カラマツ・モミ等の山道(スバルラインではない)からあまり離れていない場所で採取した。天候は雨上がり2.3日後で、できれば午前中がベストで、太陽があまり高くなると見つけにくくなるようです。できれば登山靴と帽子、磁石があれば最高です。熊がいるそうですが、今まで遭遇したことはない。虫除けスプレーで足回り袖口、首周りを念入りにし、帰宅後すぐに入浴またはシャワーを励行してダニ対策をしましょう、結構いますので笹薮は要注意です。これから、本番の時期を迎えます、みなさんも挑戦してみられてはいかがですか? 

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/後日談:上記の富士山麓でのキノコ狩りについてある住民から「東日本大震災の原発事故による放射線汚染のためにキノコ狩りは禁止ではないか」との意見がありました。

/富士山麓の鳴沢村の役場と富士吉田の恩賜県有財産保護組合(以下恩賜林組合と言う)に問合せをしたところ、東日本大震災による放射能汚染のためにキノコ狩りは現在禁止されており、入山鑑札も発行していないと言うことでした。放射能は特定の種のキノコに濃縮される傾向があるようです。因みに、ワラビなどの山菜狩りは問題なく行われています。その入山鑑札は、上記の役場、あるいは恩賜林組合事務所にて発行しているとのこと、あるいは、現地でのパトロール隊員から直接入手できる、とのことでした。(詳細は、上記の鳴沢村役所(Tel. 0555-85-2311)または恩賜林組合(Tel.0555-22-3355)にお電話で)

大震災以来、本年度もキノコの採取は禁止とのことですが、発表された令和3年度の放射能測定によれば、鳴沢村の放射能汚染の程度はキノコの種類によって大きく異なり、食品衛生法の安全基基準値100デシベル/kgをかなり超えるキノコはキシメジだけでした。それ以外のキノコは基準値程度か、ほとんどはそれ以下でした。因みに、上述のキノコのうち、ハナイグチの95デシベル/kgで、その他のキノコは測定リストに載っておらず、多分問題がなかったからでしょう。明らかに基準値を超えたものは一種ですが、本年度もキノコ狩りは禁止になっているようです。放射能(セシウム137)の半減期は30年ですが、解禁になるのは今暫くというところでしょう。原発から遠く離れた富士山麓でいまでも放射能汚染に晒されているようで、原発事故の恐ろしさを改めて思い知らされました。


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