24.パキラの花

/今回は86号棟のY.I.さんからパキラの花のお便りをお届けします。パキラは観葉植物として人気度5指に入るくらい馴染みのものですが、その花についてはあまりご存じでない方も多いかと思います。以下本文です。

/私の家にあるパキラは、いつ頃から家にあり、買ったのか貰ったのかも忘れてしまいましたが、現在、木の高さは凡そ2m強、根元は下が膨らんで太くなり、根回り40cmぐらい有ります。

パキラは、ブラジル原産で、現地では20m位まで大きくなる高木だそうです。最初は30cmぐらいの高さの木でしたが、大きくなるにつれて何度か植え替えをしました。このお陰か、このパキラに毎年夏になると白い花が咲くようになりました。多い時には、1ヶ月の間に15個程度咲きました。それから20年以上経ちましたが、今年は4個でした。

パキラは人気の観葉植物で多くの方が育てていると思われますが、その花についてはあまりご存知でないかも知れません。友人によると、パキラを20年余り育てているけど花は見たことがないと言っていました。ネット情報に依ると、パキラは挿し木で簡単に増やすことができますが、実生の苗木でないと花も咲かないし、果実もならないそうです。また、苗が挿し木か実生かどうかの簡単な判別法があるようです。

花の時期は7月~8月頃ですが、普通に言う花のようではありません。月下美人と同じように夜にならないと咲きません。夜10時過ぎ頃に開花します。花の匂いは、本当に良い香りがします。月下美人の花の匂いも良い香りですが、私はこのパキラの花の香りの方が好きです。将に、芳香という言葉がピッタリの匂いです。しかし、残念ながら花の寿命は短く、ほんの数時間で、夜咲いて朝には萎れてしまい、昼頃には茶色になって落ちてしまいます。

花の形態も妙で、写真2で示すように、花片らしきものもありませんが、巻き上がった4枚の蕾の皮が花片かもしれません。花は先端がちょっと黄色(花粉)の数十本ぐらいの細くて長い「雄しべ」だけのようですが、よく観察すると、花の中心に1本「雄しべ」と同じ形をしていますが、それよりはちょっと長く、先端が双葉のように分かれた「しべ」があります、これが「雌しべ」です(写真1右矢印)。

/写真1左:パキラの蕾、右:パキラの花

/良い香りが虫による受粉を助けているかもしれませんが、それには花の短い寿命が説明できません。パキラは、多数の「しべ」だけの花を咲かせることによって、受粉に鳥、虫の助けを借りず、風で受粉するという戦略をとっているのであろうと思います。昆虫が好む匂い/臭いを出して呼び寄せ受粉を待つ必要が無い。雄しべ、雌しべが共に写真のように密で細長いので、「雌しべ」は非常に弱い風でも容易に受粉が可能です。現地のブラジルには、夜間に高く飛ぶ蝶/蛾のような昆虫がいるかもしれないですが、我が家にはいません。それでも受粉し、実が成るのは、風による受粉が成功しているからでしょう。

開花後2ヶ月ぐらい経つとクルミほどではありませんがかなり堅い殻を持った果実になります(写真2左の矢印)。この実は、楕円体で握り拳ぐらいの大きさです。実を割った中には、種がいくつか入っています(写真2右)。

この種は食用になるそうですが、時間が経って発芽したものには、ジャガイモのソラニンと同じ毒性を持つ物質が生成されるので、注意が必要であるということです。私は、まだ食べたことがありません。

世話は、水やりと時々の肥料を施す程度で特段のことはしていませんが、一つ、大変なことがあります。最初に述べたようにパキラは、原産地が熱帯地方のため、寒さには非常に弱い樹木です。そのため寒さ対策が必要です。私の家では、パキラの木は春先から秋末まではベランダに置いていますが、そのため、冬を越させるために毎年秋の終わりになるとパキラの大きな鉢を部屋の中に入れ、春3月末頃になればまた外に出すという作業を20年以上続けています。年を取った今となっては、この作業がとても大変となっています。

今の時代はパキラについてネットで検索すれば、いろいろな情報が入手できますので興味のある方は、ネットで調べてみて下さい。20年以上も前は、ネット環境も未成熟でこうした情報を得るのに大変苦労した記憶があります。

/写真2左:パキラの実、 右:パキラの種


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です