22.花の形成におけるABCモデルについて

/ブログ9と10において述べたハンゲショウやマタタビの白化葉や22において述べた「全ては葉である」とのゲーテの言葉は、正に花びらは葉の変容であることを示している。種子植物の生殖器官である花の基本構造は同心円の外側から内側へ蕚、花弁、雄しべ、雌しべの順に形成されるが(図1)。これの器官は葉が変容したものであると言うことを分子遺伝学的に明らかにしたのは、E. CoenとE. Meyerowitzで1991年にABCモデルとして提唱された。

/図1 花の構造と花の形成におけるABC遺伝子モデル

/ABCモデルによれば、葉の形成には多くの遺伝子が関与するが、花の形成にはさらに3つの遺伝子A, BとCが関与すると言う。単純化すると、3つの遺伝子が働かない場合には緑葉になり、A遺伝子だけが働けば蕚片に、A+B遺伝子が働けば花びらに、B+Cが働けば雄しべに、Cのみが働けば雌しべになる、と言う。花びらや蕚片の役割は昆虫を引き寄せることでもあるが、一番重要な役割は雌しべを保護することにあるらしい。長い進化の過程で蕚片が退化したり、花びらのない花など誠に多様であるが、それぞれは種の保存のために最適の形質を獲得しているものと思われる。


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